こどものほうへ

八木重吉の詩に
「てくてくと
こどものほうへ
もどってゆこう」
という詩がある。

この詩を作者が
どんな心境で書いたかはわからないけど
年取った姿が目に浮かぶ。

その人は老人で
シワシワの顔だけど
穏やかな表情で眠っているよう。
その日に焼けたシワの多い顔、手から
きっと、家族のためにはたらいてきたのだろう。
時折、ベットの横に
幼いこどもがくる。
そして、お母さんに
おじいちゃんの好きな春の小川を謳ってあげてと
促されたこどもは
素直に、おじいちゃんの耳元で
春の小川を歌い出す。
すると
その老人は何かを思い出したように
遠くを見つめ
言葉にならない雄叫びのような
大きな声を上げだして
その声を聞いてびっくりして
家族が集まると
安心したように
穏やかな表情で眠るように・・・
寝息をあげるのです。

人は
こどもとして
あの世に帰っていくのかもしれません。

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