患者さん目線に立つとは

脳の病気になると
脳の高次機能の評価を受けます。

様々な検査がありますが
高次脳機能検査特に認知症の検査として
有名な検査に長谷川式認知症検査があります。
この検査は、簡単な質問で手軽に認知症を評価できると
よく使われる検査です。

昨日
この検査を作られた
長谷川医師が、実際に認知症になられて
その日常を追ったドキュメンタリーが
放送されていました。

その内容は
ただ一人の老人が認知症としての
日々を送る姿を追うだけでなく
認知症を熟している医師が
認知症になったその時
発せられる言葉から
認知症の患者さんの心境、心の中をとらえていくというものでした。

そのため
とても医師としてとてもかんがえさせられる
内容でした。

認知症の時は
自分は今不確かな世界にいると
おっしゃっていました。
自分で確信することができないので
同じ行動を繰り返してしまうのだと。

とある講演会の時には
最後にみんなで歌を歌う予定にしていて
講演会の直前まで
歌は最後だよと
釘を刺されていたにもかかわらず
最初に歌い始めて、周りがてんやわんやしてしまった。

でも当の本人は
講演会の後、
最初に歌ったことで会場が和やかになったと喜んでいた。
そう言えば、講演会直前まで
歌の練習をされていて、
きっと最初から歌うことに決めていたのかもしれないと話すご家族。
段取り通りできないのは
突飛な思いつきの行動ではなく
ご本人の頑なな思いのこもった行動
なのかもしれません。

認知症の時
家族の介護の負担を減らすために作ったデイサービスの
システムをつくったのもこの長谷川医師。
でも、自分がいく段になると
面白くないと言って、ご自身が作ったシステムでも
家族の介護の軽減になるからと周りから勧めても
行くことを拒んだ長谷川医師。

初めて
患者さんの目線で
デイサービスのシステムを見れたのかも
しれません。

これらのエピソードの数々
医師が研究して
熟知していると思っていても
結局は
患者さんと同じ目線に立つことは難しい。
と行ってるようだった。

我々医師は
病気にならない限り
真の患者さん目線には立てないのか?

最後に長谷川医師の先輩の言葉が紹介された。
「 君の認知症の研究は
君が認知症になって初めて完結する 」と。

僕も今回の病気は
医師が医師としてあるために
そして医師であるまえに人として
神が与えてくれた必要な教育であるならば
この経験を大切にしっかり勉強しよう
今日もリハビリを頑張ろうと思います。

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