涙が力をくれた

 入院から2週間ほど経っても
 まだまだ血圧は不安定だったけど
 幸い再出血の兆候もなく、
 血圧をみながら
 からだに負担の掛からないように
 例え血圧が高めな時でも
 ベット上でもできるリハビリを
 していました。

 毎日少しずつでもリハビリを続けたおかげで
 最初は指がピクピクする程度だった左手だったけど
 少しずつだけど動かせることを実感できることも
 出てきました
 2週間経った夜面会に来た妻に
 「少し動くようになったよ」と
  左手の指を曲げてみせた。
 その指をみた妻が
 自分の右手を差し出し
 「握ってみて」と握手をしてきた
 僕は左手を精一杯広げて
 妻の右手を握り、ぎゅっと力を入れてみた。
 握って力を込めた瞬間
 妻の手のぬくもりと手の拍動を感じた瞬間
 僕の左手はさらに力が入り
 もっと強くぎゅうと握れたと思う。
 すると
 今度は、妻が
 「動くじゃない。こんなに強くにぎってくれた」
 と涙を流しながら、ぎゅっと握り返してくれた。
 その涙が、また自分に力をくれたのか
 もっと左手に力がはいり
 もっと強くぎゅっと握り返すことができた。

 自分だけの力だけでは
 こんなに力がはいらなかったはず。

 妻が
 左手が動いたことを
 心から喜んでくれている
 応援してくれている
 回復を望んでくれている。
 家族の愛の力ほど強いものはない
 ということを教えてくれた。
 妻の涙が僕に力をくれた。
 
 それをきっかけに
 左手のリハビリも順調に進むようになり
 妻の涙は
 僕に目に見えない力をくれた
 魔法の涙だったと思うのです。

カテゴリー: 真実の医療 パーマリンク